ごあいさつ

第24 回日本国際保健医療学会東日本地方会
大会長 深井穫博


 第24 回目を迎える今年の日本国際保健医療学会東日本地方会は、国立国際医療センターにおいて、「健康の創造と口腔保健」を主要テーマとして開催することになりました。

 口腔保健は、人間が生きていくための基本的機能のひとつである「食べること」と、「話す」、「表情を整える」といったその人が社会的に生きていくためのコミュニケーションなど、日常の生活機能・生活の質に大きな影響を与える分野です。しかし逆に、食べている限り口腔疾患の発病のリスクが伴い、健康情報や社会資源が不足している場合には、しばしば疾患による疼痛やわずらわしさに対して、あきらめの感情を抱きやすいことは、先進工業国にも開発途上国にも共通してみられることです。
 一方、口腔疾患や口腔保健が、全身の健康、あるいは生命予後に明らかに関連する因子のひとつであることが、研究分野でも報告されるようになってきています。むし歯を始めとする口腔疾患の多くは予防可能な疾患であり、しかも口腔保健は基本的なケアとしてプライマリ・ヘルスケアにも位置づけられてきました。しかしながら、その具体的なアプローチについては、必ずしも国際保健分野の専門家の間で共有されているとはいえません。

 そこで、今回の地方会では、一般口演およびユースフォーラム(国際保健医療学会学生部会)を午前中に、午後は「国際保健医療協力における口腔保健プログラムを考える」というシンポジウムを企画しました。また、新潟大学大学院口腔健康科学講座教授、WHO口腔保健協力センター長の宮崎秀夫教授には「口腔保健に関わる世界的動向」について基調講演をお願いしています。
 なかなか、口腔保健について、国際保健に関わる多分野の方々が議論する機会は少ないので、今回の企画のなかで、皆様の積極的な参加と討議を通して、その展開と課題について共有できることを期待しています。




2009 年3 月